「防災グッズを買っても、結局しまいっぱなし…」そんな声をよく耳にします。
懐中電灯も、簡易トイレも、いざという時に必要なのは分かっている。
けれど、日常で出番がないと、存在すら忘れてしまうことも少なくありません。
そんな“備えの形”を変えてくれるのが、防災にも日常にも使える「多機能ツール(マルチツール)」です。
ナイフやハサミ、ドライバー、ピンセットなどをひとつにまとめた小型ツールは、普段の生活でも意外と活躍します。
鍵と一緒に持ち歩けるほどのコンパクトサイズで、「使いながら備える」ことができるのが最大の魅力です。
たとえば──
- 外出先で服の糸がほつれた時、すぐにカットできる
- 子どものおもちゃの電池交換にドライバーを使える
- キャンプや停電時に、ちょっとした修理や開封に便利
「防災用」としてではなく、“いつもの暮らしの中で自然に使える”。
この小さな積み重ねこそが、非常時に「慌てず動ける人」をつくります。
“使いながら備える”という新しい発想
防災グッズというと、倉庫やクローゼットにまとめて保管するのが一般的です。
しかし多くの場合、“非常用”として分けるほどに、手に取る機会が減るというジレンマが生まれます。
マルチツールはその逆。
日常の延長線上にある“便利さ”が、災害時にもそのまま役立ちます。
防災=特別なものではなく、「使える道具」として持ち歩くことで、心理的にも距離がぐっと近くなるのです。
特に近年は、アウトドア×防災の融合が進んでいます。
キャンプや登山をきっかけに、防災ツールを「おしゃれな小物」として選ぶ人も増加中。
コンパクトなツールひとつで、日常のちょっとした作業から、もしもの時の備えまでカバーできるのです。
防災における“多機能ツール”の役割とは?
防災グッズの中でも、多機能ツールは「小さくても頼れる存在」です。
ひとつ持っているだけで、災害時の“ちょっと困った”を自分で解決できるシーンが増えます。
地震・台風・停電──。
ライフラインが止まると、私たちは想像以上に「手が足りない」状態になります。
そんな時、はさみ・ナイフ・ドライバー・ピンセットなどがひとまとめになっているマルチツールは、まさに「手の延長」。

① 停電時の「切る・開ける・照らす」に
停電が続くと、懐中電灯やランタンの電池交換、梱包を開ける作業など、細かい動作が意外と多く発生します。
ハサミやナイフ機能があると、電池パックやロウソクの包装を安全に開けられるほか、
簡易照明のコードを整える際にも重宝します。
特に最近は、USB充電ランタンや手回しラジオなど、電源周りの準備が重要です。
コードのほつれをカットしたり、ケーブルをまとめたりする際にも、多機能ツールがあれば安心です。
② 家の中や車での“応急対応”に
災害時には、家具の転倒防止や簡単な修理が必要になることがあります。
たとえば、ネジが緩んだ取っ手を締めたり、ドライバー機能で簡易補修を行ったり。
車中泊避難の際にも、ちょっとした調整や開封作業に役立ちます。
LEATHERMAN(レザーマン)などのツールには、プライヤー(ペンチ)機能を備えたモデルもあり、
小さな力仕事をサポート。ドアの歪みや、外れた部品を一時的に直すなど、手作業の幅が広がります。
③ 屋外避難・キャンプ時の“食事・生活補助”に
避難所や車中泊、屋外避難の際には、封を切る・缶を開ける・ヒモを切るといった小さな作業が日常的に発生します。
缶切り・栓抜き機能付きのマルチツールなら、災害時でも普段のように食事の支度ができます。
また、アウトドア用のモデルはステンレス素材で耐久性が高く、濡れても錆びにくいのが特長。
「キャンプでも、防災でも同じように使える」──そんな“兼用できる安心感”が、マルチツールの強みです。
防災を特別視せず、「いつもの道具を、もしもの時にも使う」。
それが、現代の“賢い備え方”といえるでしょう。
“日常でも使える”暮らしの中の防災
「防災グッズ」と聞くと、どうしても“特別な物”に感じてしまいます。
ですが、本当に必要なのは「普段から手に取れる距離」にあること。
その意味で、多機能ツールは“防災と日常をつなぐ架け橋”のような存在です。

① いつも持ち歩ける“コンパクト防災”
マルチツールの中には、わずか60mmほどのサイズで、鍵と一緒にキーホルダーとして携帯できるタイプもあります。
たとえば、ビクトリノックスの「クラシックSD」シリーズ。
ハサミ、ナイフ、爪やすり、ピンセット、ドライバーなど7種類の機能を、手のひらサイズに凝縮しています。
災害時に慌てて探す必要もなく、“常に身につけている安心”を得られる。
防災グッズをバッグの奥にしまい込むより、毎日持つ物に備えを組み込むことで、忘れにくくなります。
② デザイン性が高く、日常の延長で使える
最近のマルチツールは、「無骨で男っぽい」印象から進化しています。
アルミやステンレスを基調としたミニマルデザインで、
男女問わず使いやすく、オフィスや旅行バッグにもなじみやすい仕上がりです。
ビクトリノックスのようにカラーバリエーションが豊富なモデルもあり、
「防災グッズなのにかわいい」「日常に溶け込む」という声も多く聞かれます。
普段使いすることで、結果的に“防災意識を自然と高める”効果もあります。
③ 小さくても“助かる場面”がある
大きな災害だけでなく、日常のトラブルでもマルチツールは活躍します。
出先で段ボールを開ける、服のタグを切る、指先にトゲが刺さった——。
そんな“小さな困りごと”を自分で解決できると、心にも余裕が生まれます。
この「自分でできる安心感」は、防災の根本でもあります。
普段からツールを扱い慣れていると、非常時にも慌てず使える。
それは単なる便利さではなく、“行動できる人になる備え”でもあるのです。
つまりマルチツールは、防災意識を生活の中に溶け込ませるためのきっかけ。
「使える防災」=「日常の延長にある安心」という考え方が、これからの備え方の鍵になります。
実用重視で選ぶおすすめモデル2選
マルチツールは種類が豊富で、アウトドア専門店から雑貨店まで幅広く見かけます。
しかし、防災と日常の両方で使うなら、「コンパクトで安全」「品質が確かなブランド」を選ぶのが基本です。
ここでは、Amazonでも高評価を集める2モデルを紹介します。
どちらも普段使いしやすく、防災時にも頼りになる定番アイテムです。

① VICTORINOX(ビクトリノックス)クラシックSD
スイスの老舗ブランド「ビクトリノックス」は、世界中で愛されるマルチツールの代名詞です。
その中でも「クラシックSD」は、重さわずか21g・長さ約58mmと超コンパクト。
7種類の機能(ナイフ・ハサミ・爪やすり・ドライバー・ピンセットなど)を備え、鍵と一緒に持ち歩けます。
防災面では、段ボール開封・電池交換・応急処置など、細やかな作業に最適。
女性でも扱いやすく、バッグやポーチに入れておくだけで「いつでも使える備え」が整います。
また、20色以上のカラーバリエーションがあり、好みに合わせて選べるのも魅力。
「防災グッズ=無骨」というイメージを覆す、デザイン性の高さも人気の理由です。
② LEATHERMAN(レザーマン)Skeletool(スケルツール)
もう少し本格的に備えたい人には、アメリカ発のプロフェッショナルツールブランド
「LEATHERMAN(レザーマン)」のSkeletoolがおすすめです。
ナイフ・プライヤー・ドライバー・栓抜きなどの基本機能に加え、堅牢なステンレス構造で耐久性抜群。
非常時の作業にも耐える安心感があり、アウトドアや車中泊にも最適です。
折りたためば全長10cm以下、重量も約140gと軽量設計。
腰ベルトやバッグに引っ掛けられるカラビナ付きデザインで、携帯性にも優れています。
防災リュックに入れておけば、停電・断水時の作業や応急修理にも活躍。
まさに「使うほど頼もしくなる」一生モノのツールです。
どちらのモデルも「防災+日常+アウトドア」の3要素を満たしており、
防災グッズを“特別なもの”にしない理想的な選択肢です。
失敗しない!マルチツール選びのポイント
マルチツールは種類が多く、デザインもさまざま。
安価なモデルを勢いで買ってしまうと、「重すぎて持ち歩かない」「刃が使いにくい」と後悔することもあります。
ここでは、防災と日常の両方で使いやすいツールを選ぶためのポイントを整理します。

① サイズと重量は“持ち歩けるかどうか”で選ぶ
ツールは使いやすさよりも「持ち歩けるかどうか」が最優先です。
日常的にバッグや鍵に付けておくなら、長さ6cm前後・重さ30g以内が理想。
防災リュックに入れる場合は、プライヤー付きのやや大きめモデルでもOKです。
重さが100gを超えると、普段持ち歩くのが面倒になりがち。
「軽さ」と「実用性」のバランスを見極めるのが失敗しないコツです。
② ナイフ付きモデルの取り扱いに注意
マルチツールの多くには小型ナイフが搭載されています。
ただし、刃体の長さによっては法律上の規制対象となる場合があります。
一般的に「刃体6cm未満」は携帯可能ですが、公共の場での使用や持ち歩きは避けるのが安全です。
防災目的であっても、学校・公共施設・イベント会場などでの持ち込みは控えましょう。
自宅・キャンプ・災害備蓄用として保管するのが基本です。
もし日常的に持ち歩きたい場合は、刃が丸く安全設計されたモデルを選ぶと安心です。
ビクトリノックスのクラシックSDなどは、あくまで軽作業用であり、防犯上の懸念も少ない設計になっています。
③ 用途に合わせて“機能数より使いやすさ”を重視
機能が多ければ便利に見えますが、実際には「使う機能は3〜4個程度」に絞られます。
防災と日常の両方を考えるなら、ハサミ・ドライバー・ナイフ・ピンセットがあれば十分です。
むしろ多機能すぎるツールは、厚みや重さが増し、使いづらくなることも。
「自分が使う場面を想像して選ぶ」ことが、長く愛用できるツール選びの基本です。
④ メンテナンス性と耐久性も確認
マルチツールは金属製のため、長く使うと可動部にサビや油汚れが発生します。
防災用に長期保管する場合は、ステンレス製・防錆加工モデルを選ぶと安心です。
使った後は、柔らかい布で拭き取るだけでOK。
定期的に動作確認しておくと、いざという時スムーズに使えます。
「備えっぱなし」にならないよう、日常メンテナンスも“防災の一部”と考えましょう。
まとめ|日常に馴染む“使える備え”を
災害対策というと、どうしても「特別な準備」と考えてしまいがちです。
けれど、マルチツールのように日常生活で使える防災グッズを選べば、備えはもっと身近になります。
普段から手に取って使い慣れておくことで、もしもの時にも迷わず使える。
それは「道具を持つ安心」だけでなく、“自分で対処できる力”を身につけることにもつながります。

いざという時に頼れるのは、特別な誰かではなく「自分の手にある道具」。
小さなツールひとつが、停電の夜や不安な時間を大きく変えてくれます。
防災を日常に。
お気に入りのツールを暮らしに取り入れることが、“使いながら備える”新しい防災スタイルの第一歩です。
もし「もう少し本格的なモデルを」と感じたら、
耐久性とパワーに優れたLEATHERMAN(レザーマン)もおすすめです。
“いつもの暮らしに、さりげなく防災を”。
その一歩が、あなたと家族を守るいちばん確かな備えになります。


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